〈降る雪や明治は遠くなりにけり〉。俳人中村草田男(なかむらくさたお)の代表作であり、母校の都内の小学校に句碑があるという▼詠まれたのは昭和6(1931)年とされる。大正時代を経て昭和になって間もなく、自分が生まれた明治時代に思いを致す。時期的な背景は平成を挟み、令和になったばかりの今と重なる。まさに「昭和は遠くなりにけり」である▼昭和が終わって34年、昭和100年まであと3年、などと思っていたら今春、わが社に初めて2000年生まれ、いわゆるミレニアムベビー世代が入社していたことに気付いた。来年の春には21世紀生まれが入ってくる。感じる遠さは、ますます大きくなる▼Z世代とも呼ばれるこれらの若者たちは、生まれながらにしてデジタル環境に身を置く。世のデジタル化が進む中で重要な戦力であることは間違いなく、頼りになる存在となるだろう▼とはいえ、第一線で活躍する層の年齢構成を見れば、まだ昭和世代が大多数を占める。主役の座を譲るのは遠い先の話である。だが、胸を張ってそう言えるだけの働きができているだろうか▼国の内外を問わず、世の中が複雑さを増している。その難局を乗り越えるには、経験に裏打ちされた底力がまだまだ必要だ。次世代をリードしながら明るい未来を切り開いていきたい。きょう29日は昭和の日。