第1回口頭弁論を終え、報道陣の取材に応じる遺族の奥さん(写真右)と毛塚さん=27日午後3時、宇都宮市小幡1丁目

 5年間抱え続けてきた終わりのない悲しみと怒りを司法の場で訴えた。27日に宇都宮地裁で開かれた那須雪崩事故民事訴訟の第1回口頭弁論で、亡くなった生徒と教諭の父親2人が遺族を代表して意見陳述した。「事故は自然災害ではなく人災だ」「息子の過失はない」。被告の県、県高校体育連盟、そして法廷に姿を現さなかった被告の3教諭に向け、言葉を絞り出した。

 午後2時から始まった206号法廷での口頭弁論。遺族側の代理人弁護士が訴状の要旨などを述べた後、長男公輝(まさき)さん=当時(16)=を亡くした父奥勝(おくまさる)さん(50)が、書面を読み上げた。

 「親である私はいまだに悲しみの底にいるままです」。努めて冷静に、切々と語られていく5年を経ても変わることのない喪失感。学校関係者に対する不信感に及んだ時だった。「息子たちは避けられない自然災害で死んだのではありません」。震える声が廷内に響いた。

 込み上げる思いをこらえながら言葉を詰まらせ、被告側関係者に直接語りかけるように右側に顔と体を何度も向けながら、裁判に至るまでの対応に語気を強めた。

 「どうか助けてください」。大田原高山岳部第3顧問毛塚優甫(けつかゆうすけ)さん=当時(29)=の父辰幸(たつゆき)さん(70)は、5年前のあの日の様子から読み上げた。

 国語教師と剣道部顧問になる夢を実現した優甫さんを友人や生徒らが慕ってくれていたことをしみじみ語る一方、「過失相殺(の主張)は息子の気持ちを踏みにじるものです」。登山経験がない優甫さんの過失を主張してきた被告側を、奥さん同様、鋭い視線を向けて批判した。

 2人がそれぞれ読み上げる姿を、共に手を携えてきた遺族たちが、弁護士の後ろから見守った。2人の話に深くうなずき、何度も被告側に厳しい視線を投げ掛け、そして目を閉じうつむき涙をぬぐった。

 口頭弁論終了後、報道陣の取材に応じた2人は、当事者である教諭3人が法廷に来なかったことへの無念さを口にし、奥さんは「主張があるならちゃんと出てきて話してほしい」、毛塚さんは「真心のある謝罪をしてほしい」と求めた。