第2次大戦中の1943年末、ルーズベルト米大統領は自宅から国民に語りかけた。「米英両国とソ連、中国が平和を保つ決意の下に結束している限り、新たな大戦を仕掛ける侵略国が出てくることはありません」▼有名な「4人の警察官」構想だ。戦勝大国が世界平和を取り仕切るビジョンは45年2月、クリミア半島ヤルタで開かれた米英ソ3首脳会談で共有された▼チャーチルの要請により、フランスが加わる流れもできていた。ソ連の影響力の西方拡大を防ぐためである。米英ソ中仏は大戦終結後、新たに創設された国連安全保障理事会の常任理事国となった▼国連の原点と核心は「5人の警察官」による「国際の平和と安全の維持」(憲章1条1項)にある。その1人が国際法を破って隣国ウクライナへ侵攻し、常任理事国の拒否権を使って安保理の非難決議案を葬った▼ウクライナのゼレンスキー大統領は日本の国会演説で、安保理が瀕死(ひんし)の状態にあるのなら「全世界の安全を保障する新組織」をつくり、ロシアのような侵略行為を阻止するよう訴えた。国連の存在意義を詰問しているようだった▼安保理の決定は全加盟国を拘束し、国際条約と同様の法的機能を果たす。それでもゼレンスキー氏の問いはあまりに重い。死に物狂いで改革に取り組まなければ、国連は本当に死ぬ。