2005年3月に設立された愛媛県新居浜市のNPO法人「守ってあげ隊」は、子供の見守りを中心に地域で防犯活動を展開し、全国でも先駆的な取り組みとして注目が集まった▼同年12月1日に日光市(旧今市市)大沢小1年の女児が下校途中に連れ去られ、殺害された。当時、同小PTA会長だった粉川昭一(こなかわしょういち)さんは、全国で児童の殺害事件が続いたことから、何か対策を、と考えていた矢先だった▼「思い立った時に組織化していれば事件は防げたかも」と粉川さんは悔やんでいる。翌年、「守ってあげ隊」を参考に地域自主防犯団体「大沢ひまわり隊」を立ち上げた。保護者、地域住民、教職員が参加した児童の登下校の見守りパトロールは今も続いている▼大沢小の事件を契機に、県内で子供の安全を守る取り組みは前進した。見守りボランティアが誕生し、通学路の安全マップができ、安全教育も充実した▼それでも事件後、大沢小の児童の多くが保護者に伴われ車に乗って帰宅し、子どもたちだけで帰る姿は見られない。容疑者が逮捕されても変わらず、事件の爪痕は大きい▼東京高裁は3日、控訴審判決で被告に改めて無期懲役を言い渡した。事件後12年が経過し、新たな局面と言える。子供だけで下校できない状態をどうするのか、在り方を検討する時期なのかもしれない。