のざわ特別支援学校に入学した男児。両親は医療的ケア児を安全に受け入れるためのガイドライン整備を県教委に求めている=5日午後、宇都宮市内

 重度心身障害がある栃木県央在住の男児(6)が今月、宇都宮市岩曽町の県立のざわ特別支援学校に新小学1年生として入学し、13日に初登校した。親の付き添いなしで通学させたい-。そう願う両親と県教委との協議が難航し、入学の正式決定は3月にずれ込んだ。県教委によると、人工呼吸器を常時装着し親と離れて通学するのは、県内ではまれだ。母親(36)は「教育の在り方を決めつけるのではなく、病気や障害がある子に柔軟に対応してほしい」と訴えている。

 男児には脳性まひがあり、たんの吸引などの医療的ケアを受けている。県教委によると、県内の特別支援学校に在籍する医療的ケア児は2019年時点で133人。95人が通学し、38人は教員を自宅などに派遣する訪問教育を受けている。このほか17人が公立の小中高校に通っている。

 男児の特別支援学校入学を巡り、両親と県教委の事前相談が本格化したのは昨年12月。両親は教員が自宅に来る訪問教育や親が付き添う通学ではなく、母子が離れて男児が一人で通学する形を望んだ。男児は就学前、両親の居住自治体への働き掛けで、障害がある未就学児が利用する医療型児童発達支援センターに保護者の付き添いなしで通園していたためだ。

 母親は「子ども同士の関わりの中で表現する力を伸ばしたい」と願っていた。

 ただ、県教委特別支援室は「命の安全が最優先で、常時の付き添いが必要な子の通学は難しい」などとして、訪問教育を受けた上で通学を考えていくことを提案した。一方、両親は親の付き添いなしでの通学を求め、話し合いを継続した。

 「(男児は)入院がなく、状態が安定している」。県教委がそう判断し、男児の付き添いなしの就学が決まったのは3月末だった。

 同室は「訪問教育か通学かを決めていく過程で対応の遅れがあり、保護者との合意形成にも時間を要した」と釈明。当面は訪問看護師が通学に付き添い、学校看護師にケアを引き継ぐ。

 母親は「医療的ケア児と保護者の教育的ニーズをきちんと把握し、本当に困っている親子に支援が行き届くような行政になってほしい」と願っている。