質問箱を寄贈した熊倉拓哉さん(右)と立野事務所長

 【足利】老朽化のため撤去されていた史跡足利学校(昌平町)の「字降松(かなふりまつ)質問箱」がこのほど復活した。山川町で工務店を経営する熊倉拓哉(くまくらたくや)さん(74)、清高(きよたか)さん(44)親子が県産ヒノキ材で製作し、市に寄贈。質問箱を通した学校と参観客との交流が2年ぶりに再開した。

 字降松は孔子像を祭る聖廟(せいびょう)前に植えられている松の名。室町時代、学生が読めない字を紙に書いて枝にくくると、第7世庠主(しょうしゅ)(校長)の九華(きゅうか)和尚が翌日、振り仮名や注釈を付けてくれたとの伝説が残る。

 同学校は1995年、「現代版字降松事業」として参観客からの質問受け付けを始め、2005年に丸太材を加工した質問箱を設置した。しかし、朽ちて倒れる危険があったため2年前に撤去し、質問は敷地内の遺跡図書館で受け付けていた。

 熊倉さん親子は昨夏、同学校から相談を受けて質問箱の製作を始めた。新型コロナウイルス禍で材料調達が困難な中、端材などを集めて投函口と鍵付き受け取り口を設け、支柱とともに防腐処理。ステンレス製の屋根も付け、今後は立て看板も修復するという。高さ約120センチ。

 1988~90年、同学校の方丈や庫裏(くり)などの復元工事に従事した拓哉さんは「学校には思い入れがある。伝統や参観者との交流が20年、30年と続くよう思いを込めた」と話す。「歴史や展示品への質問以外に、市を訪れた感想なども書いて投函(とうかん)していただき、足利がよりよい町になればうれしい」

 寄贈を受けた同学校の立野公克(たてのきみよし)事務所長(59)は「古来のものが復活し、ありがたい。多くの方にご利用いただきたい」と感謝している。