「サシバの里自然学校」校長の遠藤隼さんが、親子で一緒に自然に親しめる遊びやイベント、身近なフィールドを紹介します。

 

 市貝町でサシバの里自然学校を運営している遠藤隼(えんどうじゅん)と申します。参加する子どもたちからは「じゅんじゅん」と呼ばれています。

 さて、みなさんはサシバというタカの仲間をご存じですか。サシバは桜の咲き始める今頃の時季に南の国から渡ってきて、「ピックィー」と鳴きながら里山の大空を舞います。サシバが里山のシンボルと呼ばれるゆえんは、食べ物にあります。

里山を象徴するサシバ

 好物は田んぼなどにいるカエルたち。サシバが元気に暮らしていくにはカエルやそれを取り巻く生き物豊かな田んぼが必要です。そして、隣接した林へ巣をつくります。そのため、ひろーい田んぼではなく、谷津田(やつだ)と呼ばれる山あいの細長い田んぼが残る市貝町のような里山を好むのです。

 このような谷津田と呼ばれる田んぼは日本中にありました。他の地方では谷戸や谷津と呼ばれ、今でも地名としてたくさん残っています。しかし、徐々に田んぼとしての谷津田の利用は減り、それに伴いエサとなるカエルも減少していきました。そして、サシバは減少し、ついに絶滅危惧種として位置づけられることになったのです。そこで、サシバの里自然学校では、サシバの住み良い環境づくりと生き物豊かな里山の魅力を自然体験から子どもたちへ伝える活動をしています。

 宇都宮の郊外にも里山はあります。宇都宮出身の私はそんな里山の小川や野原で子どもの頃たくさん遊び、育ちました。学校が終わると友達と自転車に乗って魚釣りや虫捕りへ。森では竹で弓矢を作り、隠れ家を作って過ごしました。私が過ごしたあの頃の野遊びを、今の子どもたちにもしてほしいと思っています。

自然の中で「楽しい!」の積み重ねを増やしていく

 きっと、里山で楽しく過ごした経験を持った子どもたちは、里山を次世代に残したいと思うでしょう。自分の子どもたちにも経験させたいと思うでしょう。私自身がそうであるように。

 子どもたちは、将来の里山を、サシバを、ひいてはこれからの地球環境を守る主役になっていきます。だから、子どもたちには体験から自然の魅力を知ってほしいのです。

 さあ、里山にはサシバが渡ってきましたよ。暖かな春の里山へみなさん足を運んでみませんか?

 
◆遠藤隼(えんどう・じゅん)さん◆1984年、宇都宮市生まれ。大学卒業後、静岡県にある自然学校職員として子どもキャンプやエコツアーを指導。2012年8月から1年以上かけて、自転車でユーラシア大陸横断・南米縦断をした。2021年度宇都宮大大学院修了、研究テーマは「里山での幼児向け体験型環境教育の実践と評価」。現在はサシバの里自然学校校長、作新学院大女子短大部非常勤講師。