放送大学栃木学習センター(宇都宮市峰町)に在籍する那須塩原市北弥六、作業療法士荻原牧子(おぎはらまきこ)さん(63)が、同センターで初めて大学院の博士課程を修了した。東日本大震災を契機に大学院に入り9年半。働きながら、高齢者のテレビ視聴と要介護手前の状態「フレイル」との関連性を研究し、念願の博士号を得た。「学ぶ意欲に年齢は関係なく、挑戦する人の参考になればうれしい」と語り、研究成果を臨床の現場で生かすつもりだ。
宮崎県出身で専門学校を卒業後、東京都内の病院などで約25年リハビリ指導を担当した。その間、自身の教養不足を痛感し、子育てと仕事をしながら10年を掛け、通信で日本女子大を卒業した。15年前に那須塩原市に移り、大田原市や那須町の依頼を受けて介護予防教室などを担当してきた。
転機は東日本大震災。自身が感じた死の恐怖、突然命を奪われる現実に「やりたいことをやろう」と決意した。教室に参加しているお年寄りが、テレビ番組の健康情報に大きな影響を受けている実態を追究したい思いがくすぶっていた。