4月10日告示、17日投開票の栃木市長選は告示まで2週間を切った。いずれも無所属で、市政の継続を訴えて再選を目指す現職大川秀子(おおかわひでこ)氏(74)=自民、公明推薦=と、市政を変えようと主張する宇都宮大名誉教授の新人高際澄雄(たかぎわすみお)氏(73)が立候補を表明。一騎打ちが濃厚となる中、構図や対立点を探った。

栃木市岩舟総合運動公園内のサッカー専用スタジアム。固定資産税免除などの是非を巡り対立が続く

 

 1月27日、県庁記者クラブ。住民訴訟の原告団代表早乙女(そうとめ)利次(としじ)さん(75)は「極めて感慨深い。全面勝利に大感激している」と率直な感想を口にした。栃木市長の大川秀子(おおかわひでこ)氏(74)を相手にした住民訴訟。判決後に開いた記者会見の席には、原告側の一人で、市長選で大川氏の対立候補となる新人高際澄雄(たかぎわすみお)氏(73)の姿もあった。

 高際氏が立候補を表明したのは判決の5日前。マニフェスト(選挙公約)を発表した今月9日には改めて裁判にまで至った経緯などを振り返りながら、「サッカースタジアムの問題は、ただならぬ問題だと認識した」と立候補を決意した理由の一つに挙げた。

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 市岩舟総合運動公園内に民間企業が建設したサッカー専用スタジアムを巡り、市は2020年、固定資産税や公園使用料を免除することを決めた。交流人口の増加による経済効果など、公益性があるとの理由だった。

 しかし翌年2月、市が企業の固定資産税などを免除するのは違法だとして市民有志が住民監査請求。請求は棄却されたが、5月には免除の差し止めなどを求めた住民訴訟を起こした。

 地裁はスタジアムを運営会社の営業のための施設とした上で「強い公益性は到底認められない」と判断。経済効果などを理由とした使用料免除に関しても「合理的な将来予測に基づくものとは認められない」と指摘、いずれも市の主張を退けた。

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 「市の主張が認められず誠に残念。改めて市の考え方を主張していく」

 2月8日、大川氏は市の予算発表記者会見で「司法の判断を仰ぎたい」と力を込めた。この日、判決を不服として東京高裁に控訴した。

 大川氏の後援会総連合会が発行するチラシには、スタジアムの写真とともに「地域活性化」や「スポーツの振興」「選手の育成」「経済効果」「健康増進」などの文字が並ぶ。市のメリットを訴える構えだが、陣営の関係者は「(判決は)市長選に影響はあるだろう」と厳しく受け止める。

 一方の高際氏。一審判決は追い風になるとみられるが、「批判だけでは難しい。批判一辺倒では票に結び付かない」(陣営関係者)との声も漏れる。

 大川氏と高際氏が真っ向から対立するスタジアム問題。裁判が続く中、有権者にはどう映るのだろうか。