【小山】下生井の渡良瀬遊水地で営巣している国の特別天然記念物コウノトリのペアに今春、ひなが生まれた。かつて一度は国内で絶滅したが、この場所では3年連続の野外繁殖となる。恒例のヨシ焼きで真っ黒に焦げた大地が新緑に覆われる初夏まで、コウノトリの子育ては続く。渡良瀬遊水地に集う人々の期待は、膨らむばかりだ。
下生井の渡良瀬遊水地堤防に3月26日、市が雇ったガードマンが配備された。コウノトリのひながふ化すると、週末は写真愛好家だけでなく一般の見物客も訪れ、堤防上が人や車でごった返すためだ。
ただ、この日はまだ人の姿がまばらだった。今年の推定産卵日は、昨年と同じ2月22日ごろで、ふ化推定日は3月29日。市は今月1日、少なくとも1羽のひなを確認したと発表した。
「顔を見るのが待ち遠しいよ」。下生井、農業平田政吉(ひらたまさきち)さん(73)は、日の出前から毎日ペアの様子を見に来る。市から「渡良瀬遊水地見守り隊」の代表も委嘱されており、遊水地にコウノトリが定着した4年前から写真を撮り続けている。