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事故現場を望む献花台で手を合わせる人たち=27日午前9時40分、那須町湯本

 那須町で2017年3月、登山講習会中だった大田原高の生徒7人と教諭1人が亡くなった雪崩事故は27日、発生から5年を迎えた。事故現場の斜面が一望できる小丸山園地展望台に設けられた献花台には、早朝から関係者や地元住民らが続々と訪れ、「安らかに眠ってほしい」と深い祈りをささげた。

 5年前に雪崩が発生した午前8時半すぎ、献花台に置かれた10束ほどの花束が吹き下ろしの強風に揺れていた。来訪者は白い雪に覆われた事故現場の斜面に向かって、静かに手を合わせた。

 近所の60代女性は娘と孫娘を連れて花を手向けた。事故当日は救急車のサイレンがやまなかったという。「見守るしかなく、何もしてあげられなかった」との心残りがあり、毎年カレンダーに印を付けて足を運ぶ。「年々献花する人が少なくなったかな。風化させたくない」と冥福を祈った。

 日光や那須で登山ガイドをする宇都宮市立伏町、芝田信久(しばたのぶひさ)さん(65)は「安全な登山を考え直す一日」と力を込めた。事故を知らない県外の観光客も多いといい「8人の犠牲を無駄にしたくない。事故の教訓を伝え続け、安全意識を高めてもらうようにしていきたい」と誓った。

 宇都宮市清原6丁目、50代男性会社員は「この山を愛する人にとって忘れてはいけない特別な日なので、毎年訪れています」と話し、稜線(りょうせん)を見つめた。

 事故を巡っては先月、一部遺族が県や講習会の責任者だった3教諭らに損害賠償を求めて民事提訴。宇都宮地検は業務上過失致死傷罪で3教諭を在宅起訴している。