男の子を育てるママには男の子の体は分からないことばかり。ママ同士で「どうしたらいいのか分からない」とよく話題になるのがおちんちんの包茎。むくべきなのかどうか。包茎が関係する心配な病気などについて、自治医大とちぎ子ども医療センター小児泌尿器科の中井秀郎(なかいひでお)教授に聞いた。

中井秀郎教授

 包茎とは、おちんちんの先の包皮口が狭く、包皮をむいて亀頭を完全に露出できない状態。中井教授は「赤ちゃんの男児はみんな包茎。逆に亀頭が露出していたら、尿道下裂など先天性異常を疑う」という。

 よく「仮性包茎」「真性包茎」と耳にするが、中井教授によるとそれは成熟した男性器に対してで、子どもには当てはまらない。子どもの分類は「生理的包茎」か、治療の必要な「病的包茎」の2種類。敏感な亀頭を保護するため包茎は子どもの正常な状態。「思春期までは包茎が自然だから、神経質にならなくていい。思春期終了時には、勃起時に、あるいは非勃起時でも包皮をむけば簡単に亀頭全体が露出する状態になる」。

 赤ちゃんの時は包皮の裏側と亀頭がぴったりくっついているが、包皮の裏側と亀頭の間に恥垢(ちこう)と呼ばれる垢(あか)がたまることで癒着が少しずつ剥がれる。時々起きる勃起現象で皮膚が伸び、手で包皮をたぐり寄せれば亀頭が少しずつ見えてくるようになる。1歳では尿道口全体、2歳で亀頭部分の20%、7歳以上で50%が見えるようになる。亀頭全体が見えるようになるのは高校生頃。

 「自然に亀頭が見えるようになるので、むかずに放置を。無理にむくと包皮が傷付き、細菌感染すると硬く瘢痕(はんこん)化して手術が必要になることもある」と話す。入浴時にせっけんできれいに洗う衛生管理だけでいいそうだ。恥垢はきれいなもので、ほとんど自然に排出されるためケアは不要。

 

 一方、病的包茎で受診するような場合は治療が必要になることも。手術ではなく、ステロイド軟こうを塗ることで包皮が伸び、対処できることが多い。

 包茎が原因で1歳頃までの男児によく見られるのが尿路感染。長時間包茎部に緩いうんちが付いたままでいると、尿道口から大腸菌が侵入しやすく起きやすい。極端に包皮口が狭い病的包茎が疑われる時は、赤ちゃんでも包皮に軟こうを塗る治療を勧めるという。

 幼児期に多い症状がバルーニング現象と包皮炎。バルーニング現象は包皮口が狭いため排尿時に包皮と亀頭の間に尿がたまり、おちんちんが風船のように膨らむ。尿が飛び散ってトイレを汚してしまうので、排尿習慣の自立の妨げになることがある。

 包皮炎は包皮、特に包皮口が炎症を起こし、赤く腫れて痛がる。汚い手で触ると起きやすく、恥垢が部分的に剥がれ隙間ができた時も菌が入り込みやすい。抗生剤の内服や塗り薬でよくなるが、3回以上繰り返す時は手術を考える。

 受診時に注意したいのが、膿(うみ)がたまっていないのに無理にむかれてしまうこと。傷ができ、余計に菌が入って悪化するだけでなく、その傷が瘢痕化して包皮が硬くなってしまう。硬くなると包皮口が伸びなくなる。瘢痕は軽度ならステロイド軟こうで治ることもあるが、重症だと手術で包皮を切除することに。「包皮炎の真っ盛りの時に医者が大人の治療と同じように包皮をむこうとしたら、抗生物質の内服を希望する旨を伝えてほしい」と呼び掛ける。

 思春期に起きやすいのは嵌頓包茎。包皮口が狭く、むいた時に元に戻らなくなり、亀頭がうっ血する。すぐに病院へ行こう。

 中井教授は「子どもがただ生理的包茎という理由では、手術や特別な治療はいらない」と話している。