代表で追悼の辞を述べる鏑木恵理さん(中央)=26日午前10時40分、大田原高

 26日に大田原高校で開かれた那須雪崩事故の追悼式で、鏑木悠輔(かぶらぎゆうすけ)さん=当時(17)=の母恵理(えり)さん(54)が述べた「追悼の辞」の要約は以下の通りです。

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 悠輔(ゆうすけ)、会えなくなってから5年という月日が流れます。あの日から私たちの心の中では悲しみの感情ばかりがさえわたり、喜びの感情は忘れたようです。

 この間、久しぶりにあなたが夢に出てきてくれました。辺り一面真っ白な雪景色。あなたは一人ぽつんと横たわっているのです。顔と体にかかっている雪を私は無我夢中で「ごめんね、ごめんね」と払いのけました。顔はほんのりまだあたたかく、ぬくもりがあります。

 あなたは「疲れたから休むね」と言いました。目は閉じたまま。体は冷たく固くなっていくのです。

 夢の中であなたは私に何を伝えたかったのでしょうか。事故の責任の所在をはっきりとさせず、うやむやなままの現状に疲れているのでしょうね。

 本来ならこの春から新社会人になるはずでした。将来の夢は警察官か体育教師と語っていましたね。想像で未来を語ることしかできない。子どもたち8人の夢も希望も家族と時間を過ごすことも、全てが絶たれてしまったのです。

 なぜ悠輔がいないのに私は生きていられるのかとよく考えます。こんなにつらく、切なく、悲しい。なぜ自分の命より大切なわが子を失っているのに、普段通りの生活を送れるのだろうかと。

 悠輔とともに過ごした17年間は家族にとってとても幸せな時間でした。心の中で宝石のようにキラキラと輝いている大切な時間です。一緒になれて幸せでした。本当にありがとう。

 あなたたち8人は私たち家族にとって、いとしさがあふれ続ける、かけがえのない一番大切な、光輝く宝物です。8人が戻ってきてくれるなら私たちはもう何もいらない。輝くような笑顔がみたい。