コロナ用の病室を訪れる前に患者の情報を確認する看護師=10日午前、栃木市大平町川連(とちぎメディカルセンターしもつが提供)

 新型コロナウイルスのオミクロン株で入院者数の高止まりが続く中、栃木県内の受け入れ医療機関は高齢化する患者の対応に追われている。食事や排せつといった日常生活で介助が必要な人も多く、これまで以上に医療従事者への負荷は増している。関係者は「オミクロン株だから対応が楽だということは全くない。非常に厳しい状況が続いている」と訴えている。

 専用マスクと帽子、エプロン、フェースシールドに手袋を身に着け、肌の露出を極力減らす。感染防護に優れたマスクは顔に密着して息苦しさも際立ち、わずかな時間でも汗が噴き出る。コロナ担当の看護師はこのままで2~3時間ほど過ごし、患者の状態確認や食事などの介助に取り組む。

 栃木市大平町川連の「とちぎメディカルセンターしもつが」では、24床をコロナ用として確保。県の要請で患者を受け入れ、1月以降の第6波では6~7割が埋まる状況が続く。

 呼吸器専門医の福田健(ふくだたけし)代表理事理事長は「第6波の入院患者はほとんどが高齢者」と指摘する。多くが酸素投与を要する「中等症Ⅱ」の患者で、自宅での家族内感染が中心という。

 デルタ株などと比べて重症化しづらいと言われるオミクロン株だが「現場ではそうした実感はない」と福田理事長。入院患者に占める高齢者の割合が増えるに従い、元々あった基礎疾患の治療も行う事例が増え、医療の負担は増した。持病の悪化が死者の増加にも拍車を掛けている。

 ケアの内容でも介護の要素が高まる。食事や排せつといった日常動作の介助が必要で、認知症がある人には状況の説明にも苦慮。患者の安全に配慮してより慎重な対応を取るため、看護師のマンパワーがこれまで以上に求められる。感染管理認定看護師の別井一之(べついかずゆき)感染対策室長は「現場は心身ともに苦しい状況が続いている」と明かす。

 福田理事長は「ワクチンの力を過信しない」ことの必要性を訴える。感染性の高いオミクロン株のまん延で、入院患者の中には3回目の接種を終えた人もいた。「ワクチンを接種しても、マスクの着用や密を避けるなど引き続き感染対策をしてほしい」と呼び掛けた。