定礎式で儀式を行う関係者ら=12日午前11時15分、鹿沼市上南摩町

 国土交通省が進める鹿沼市の思川開発事業(南摩ダム)で12日、定礎式が行われた。ダムの本体工事は2020年12月に開始し、掘削などが終了。今後は本体の建設を本格化させ、24年度末の完成を目指す。

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 同事業は、実施に向けて1969年に計画調査がスタート。調査以降、地元では住民による反対運動が続き、約20年前に水没予定地の住民の集団移転が始まった。その後、旧民主党政権下での事業一時凍結などの曲折を経て、2016年に継続が決まった。

 定礎式は建設現場で行われ、福田富一(ふくだとみかず)知事や佐藤信(さとうしん)鹿沼市長、本県選出の国会議員ら関係者約120人が出席した。福田知事らがダムの掘削時に出た砂利を礎石の周りに盛るなどし、工事の安全を祈願した。

 福田知事は「気候変動で水害が頻発する中、ダム建設が進むことは意義深い。治水、利水の両面から大いに力を発揮することを期待する」とあいさつした。

 南摩ダムは思川支流の南摩川に建設し、付近の黒川と大芦川が地下トンネルで結ばれる。高さ86・5メートル、総貯水量は5100万立方メートルとなる予定。総事業費は約1850億円。