立候補を表明している4氏。右上から時計回りに津久井氏、鈴木氏、星氏、相馬氏。背景は大田原市役所

大田原市の基金と経常収支の推移

立候補を表明している4氏。右上から時計回りに津久井氏、鈴木氏、星氏、相馬氏。背景は大田原市役所 大田原市の基金と経常収支の推移

 13日告示、20日投開票される大田原市長選。4選を目指す現職と新人3人の立候補予定者が掲げる市の課題や未来像を紹介する。

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 「財政的な将来不安を多くの市民が持ったと思うが、底を打った。先行き安心できる財政運営に取り組める」

 2月1日、計310億円となる新年度一般会計当初予算の記者会見で津久井富雄(つくいとみお)市長(72)は胸を張った。

 市町村合併に伴う国の交付税優遇措置縮減を見据え、市は2020年度、「聖域なき行財政改革」に着手。市単独補助金20%以上の削減、津久井氏の目玉公約「小中学生の給食費無料化」取りやめ、独居老人緊急通報システム有料化など事業の見直しを進めてきた。

 結果、本年度予算は合併後初めて、市の貯金である財政調整基金(財調)を取り崩さず編成できた。新年度も繰り入れずに済み、津久井氏は「安心して暮らせる安心予算」と説明した。

 ただ新年度予算編成方針によると、20年度決算で実質単年度収支が4億3千万円と3年ぶりに黒字化した一方、財調と特定目的基金から19、20年度に約20億円を繰り入れており、実質的には財源不足とした。

 一般会計の基金合計額は13年度末の66億3千万円をピークに20年度末には23億7千万円と3分の1に。数値が高いほど財政余力がないことを示す経常収支比率は96・4%と高止まりだ。

 前県議相馬憲一(そうまけんいち)氏(64)は街頭演説などで「自由に使えるお金が少ないので新しい仕事ができない。専門家による第三者委員会を作り、歳出超過状況をなくす」と強調する。

 会員制交流サイトに政策動画をアップする市議3期の星雅人(ほしまさと)氏(37)は市民の負担増を批判。「特別会計の基金には余裕がある。介護保険料、国民健康保険税を引き下げる」と訴える。

 元官僚で市議1期目の鈴木隆(すずきたかし)氏(63)は「中央省庁とのパイプを生かして国から追加予算を取り、ふるさと納税の増収や企業誘致で財政を安定させる」との政策を掲げる。

 こうした市財政への指摘に津久井氏は、借金である市債残高を任期中に59億円減らしたと強調する。基金減少の理由には、東日本大震災に伴う市庁舎建設や小中学校の増改築などを挙げる。

 ただ、インフラ整備の財源は国補助金や有利な市債が多く、一般財源の持ち出しは少ない。そのため、財調減少の要因に、計約24億円に上る給食費の市単独補助金を挙げる声もある。

 子育て支援の象徴として給食費支援を始めた津久井氏は、街頭演説でこう訴えた。「財政は健全化、市民サービスは最高を求める厳しい要求の中、知恵を巡らした」

 4氏全てが重要施策に掲げる財政運営。今選挙で最も注目される争点だ。