チェアスキーに励む猿渡さん。日本選手の活躍を楽しみにしている=4日午前、ハンターマウンテン塩原

 北京冬季パラリンピックが4日、幕を開けた。日本勢はアルペンスキーなどでメダルラッシュが期待され、座った状態で雪上を滑る「チェアスキー」に打ち込む宇都宮市泉が丘中1年猿渡心温(えんどしおん)さん(13)も「いつか僕もパラリンピックに出て、メダルを取りたい」と大きな夢を描き、障害者スポーツの冬の祭典を楽しみにしている。

 これまで冬季パラリンピックに出場した県内選手は、野木町出身の黒須高(くろすたかし)さんのみ。1994年リレハンメル大会でアルペンスキー男子座位・大回転の銀など3個のメダルを獲得し、98年長野大会にも出場した。

 今大会は県勢の出場はないが、若くて競技環境も整えている猿渡さんが、最も冬季パラリンピックに近い本県アスリートだ。

 猿渡さんは4歳の時、インフルエンザ感染から熱性けいれんを発症。その影響で、下半身が不自由になった。小学2年の頃にチェアスキーに出合い、日本チェアスキー協会で若手育成を担う野島弘(のじまひろし)さんから指導を受け、技術を磨いている。

 「一番応援している」のは、6大会連続出場となるアルペンスキー男子座位の森井大輝(もりいたいき)選手(41)=トヨタ自動車。3年前に練習を共にし、ターンを教わった。「メダルを取ってほしい。日本やオランダの強い選手を見て、自分も勉強したい」とテレビ中継を心待ちにする。

 普及に向けた関係者の期待も大きい。県障害者スキー協会会長の坂本裕明(さかもとひろあき)さん(55)は「見た人が興味を持つきっかけになってほしい。ハンディーがあっても、スキー選手のスピードは本当にすごい」と熱弁する。

 ただ坂本さんの思いは複雑だ。同協会は2001年に発足。毎年、体験会などでパラスキーの輪を広げてきたが、ここ8年ほど開催に踏み切れていない。指導できる会員は6人程度で、ほとんどが60~70代。体力的に厳しく、スタッフも不足している。

 介助ボランティアも足りず、昨年も体験希望の電話があったが、安全面も考慮し断るしかなかった。「受け皿がなく申し訳ない。私たちの持っているものを、たくさんの人に伝えたい」と同協会の再興を模索している。