高瀬さんの話に耳を傾ける新規採用の教員たち=30日午前、那須町湯本

 那須町で大田原高の生徒7人と教員1人が亡くなった雪崩事故で犠牲になった矢板市荒井、高瀬淳生(たかせあつき)さん=当時(16)=の母晶子(あきこ)さん(51)は30日、県教委が同町湯本で開いた初任者高校教諭ら向けの危機管理研修で講師を務めた。「生徒の命を預かっていることを忘れないことが危機管理につながる」。晶子さんは時折言葉を詰まらせながら、約140人の教諭らに訴えた。

 研修会は30、31の両日、教科指導などを学ぶ目的で開かれ、県立高と特別支援学校の教諭らが参加。危機管理に関する研修項目は今回初めて設けられ、講話は研修を知った高瀬さんが県教委に打診して実現した。

 高瀬さんはこの日、淳生さんが事故当時していた腕時計と、事故前に撮影された大田原高山岳部の集合写真を持って臨んだ。

 「皆さんの前で話ができることに感謝します」。一礼して話し始めると、事故当日の引率教員の判断に疑問が湧いたことや、事故後の県教委の対応に信頼を置けなかったことなどを率直に語った。

 また県高校体育連盟が事故後に作ったマニュアルの中にある熱中症対策の項目を読み上げ「『注意喚起を行う』『予防に努める』とあるが、表現があいまい」と批判。一定の気温で活動をやめるといった具体的な表記を提案し「経験で判断するのではなく、先生の考え方は統一しないといけない」と強調した。

 約45分間、用意された水に口を付けることなく、話し続けた高瀬さん。「疑問に感じたことは内側から声を上げて」と訴えたほか、最後は「(職業に)教諭を選んだことを誇れる教諭になって」と伝えた。

 聴講した黒羽高の神山雅(かみやままさし)教諭(27)は「改めて気を引き締め、数々の教訓を認識しながら事前に動いていきたい」と話した。