寄付に添えられたメッセージと那珂川署の記録ファイルの数々

 栃木県那珂川町の那珂川署に毎月、「恵まれない人のために使ってください」との一筆を添えた匿名の寄付金が寄せられている。旧馬頭署時代の1974年8月2日に始まり、今年2月1日分で計568回、寄付額は316万3千円に達した。心温まる静かな善意を記録した同署の分厚いファイルも、既に6冊に上る。

 寄付は月初めと終わりにあって翌月がないケースもあるが、48年間、ほぼ毎月欠かさず続いている。最初は千円だった毎回の寄付額は、やがて3千円、5千円と年月を経るに連れて増え、2015年2月5日分からは1万円になった。

 最初は「恵まれない人のために使ってください 1住民」と黒いペンで書かれた便箋が添えられていた。最近は白い紙や色紙が使われるようになり、「1住民」はないが、同一人物と思われる筆跡で変わらぬ一言がしたためられている。

 同署は全ての寄付金を町社会福祉協議会へ届け、地域福祉に役立ててもらっている。また、日付や金額を引き継ぎ事項として記録し続け、メッセージ書きも保管している。匿名だけにお礼の言葉も伝えられず、過去に何度か、下野新聞などの報道を通じ感謝の思いを発信してきた。

 昨年3月に同署へ赴任し、今年3月末で県警を定年退職する石井和浩(いしいかずひろ)署長は「これほど長い期間、寄付を寄せてくださるのはどんな方か」と思いを巡らせ、「いずれにせよ何か強い思いをお持ちのはず。その気持ちを大切に受け止め、生かしていくことがわれわれの使命だ」と話している。