今回は県南地域から少し寄り道し、ある若者に会いに真岡市へお散歩にやって来た。障害者が制作するアートの全国規模の競演「パラリンアートカップ」で5年前、当時16歳で初代グランプリに輝いた飯山太陽(いいやまたいよう)君(21)。益子町のカフェスペースで一昨年開いた自身初の個展でも700人の来場者を集めた注目の人は、今どうしているんだろう?

太陽君の作品「ぽぽるのお祭り」(題名の意味はインスタで)

 太陽君は今、障害者就労支援の事業所「そらまめ」が運営する食堂で、メニューに絵を描いたりドリンク作りや接客の仕事をしたりしていた。客として訪れた時に気に入って、高校卒業後に就職。店長さんは、太陽君が働きだしてから初めて彼の絵を見て「これはただ者じゃないな」と驚き、つい先日から彼の絵を使ったカレンダーも売り出した。

 太陽君は短期記憶力障害で、一度に複数の指示は覚えられなかったり、自力だけでは近くのコンビニに行くのも難しかったりする。だが取材していると何の違和感もなく、本人も「(障害に)気づかれにくいことが一番困る」と言う。

 漢字の読み書きも苦手だが、作品には多くの漢字が描かれている。「字の意味は分からないけれど、形がカッコ良くて好き。益子の“益”って、顔に見えない?」と言われてじっと字を見ると…アレ、歯を見せて笑う顔が見えてきた!

幼なじみの記者(右)の取材に応える飯山君

 絵の専門学校を体験訪問した時、ペンの持ち方から教えられ「絵の描き方に正解があることに違和感を覚えて」独学を選んだ彼は、「ルールを自分で作らないことを大切にしているんだ」と話す。型にはまらない作品に魅了された人たちの応援で、活動の場は着々と広がっている。

 「もおか市図書館プロジェクト」では、太陽君自ら車椅子を押して、市内のバリアフリーマップを一年がかりで作成した。「真岡まちづくりプロジェクト」では、久下田駅のウインドーアートのデザインを手掛け、明るく楽しい場所に一変させた。これからは「ライブペイントや体験教室も開きたい」と語る太陽君の次の個展は、来月12日から足利アートスペース&カフェで。当分、彼の活躍から目が離せな“いいね”!