出版した本を手にする若井克子さん。隣の写真は夫の晋さん=1月下旬、県内

 東京大や獨協医大で教授を務め、若年性アルツハイマーの当事者として全国各地で講演も行った医師若井晋(わかいすすむ)さん(享年74)の半生を、妻の克子(かつこ)さん(75)=本県在住=が書籍「東大教授、若年性アルツハイマーになる」としてまとめた。50代で認知症を発症後に少しずつ症状が進行する様子や、病気を公表したことで訪れた変化、隣で支え続けた自身の思いをつづっている。

 晋さんは1947年、前橋市生まれ。東京大医学部を卒業して脳外科医として活躍した。1999年に東京大教授となって以降は、国際地域保健学を研究した。

 54歳ごろから簡単な漢字が書けなくなるなど、日常生活に支障が出始める。59歳で認知症と診断されて大学を早期退職し、自宅のある本県で療養生活を送った。克子さんは「脳の専門家として自身の先を見通して、悔しかっただろう」とおもんぱかる。

 晋さんは診断の約2年後、認知症を公表し活動するオーストラリアの科学者クリスティーン・ブライデンさんの講演を聴いたのがきっかけで、自らの病も公にした。医療の業界紙からのインタビューを受けると、全国から講演の依頼が舞い込むようになる。