注文殺到で売り切れ中のホテル花月のようかん。現在、見本として空箱を並べている

 栃木県大田原市黒羽向町で先月行われた将棋の第71期王将戦7番勝負第3局で藤井聡太(ふじいそうた)四冠と渡辺明(わたなべあきら)王将が食べた“勝負おやつ”と“勝負飯”が注目されている。藤井四冠が2日連続で選んだ対局会場ホテル花月の自家製栗の小倉ようかんは注文が殺到、9日までに約200件約500本に上った。2人が昼食にした「与一和牛」にも関心が集まり、関係者は今後の消費拡大など「王将戦効果」に期待している。

 16期連続で会場となった同ホテル。ようかんは客室用のお茶菓子だったが、今は宿泊客の土産品として館内の売店販売(1本1080円)のみとなっていた。

 田代祐介(たしろゆうすけ)社長(48)は「藤井四冠が和菓子好きと聞いたので12種類のメニューの中に初めてようかんを入れた。歯応えと優しい甘みが特徴。選ばれるかは分からなかったが、2日連続だったので、おいしかったのでしょう」と受け止める。

 対局初日にネットでメニューが紹介されるとすぐ、同ホテルに問い合わせが相次ぎ、今でも全国各地から注文が入るほどの人気ぶりだ。田代社長は「生産は週70本が限度。注文から2カ月以内に発送できるように努力している」と、大きな反響への対応に追われる。

 一方、2人が勝負飯に選んだ与一和牛のステーキ重とビーフカレー。同ホテルに問い合わせもあるが、特別メニューのため現時点では一般提供はしていない。

 与一和牛は、「与一和牛研究会」所属の市内生産者が育てた黒毛和牛のうち最高のA5ランクの肉に与える商標で、大田原ブランドの認定第1号の特産品だ。

 同会の新江和平(あらえかずひら)代表(66)は「問い合わせが増えた。市内で食べられる店や買える店を紹介している。値が張るので売れ行きがすぐ良くなるとは思わないが、市のふるさと納税の返礼品の注文も増え始めた」と歓迎。与一和牛の精肉を取り扱う「肉の蔵とりきん」(末広3丁目)も「多くの人に知ってもらえたら」と消費拡大を期待する。

 市内の店では8日から、カフェレストラン「クローバー・ボヌール」(浅香5丁目)が「味わい王将戦」と銘打ち、与一和牛セットを千円引きの7400円で提供開始。東武宇都宮百貨店大田原店(美原1丁目)が、王将戦のおやつのケーキはテナントの「チーズガーデン」のイチゴショートケーキ(1個500円)だと明かしてPRを始めるなど、王将戦にあやかった動きも広がりつつある。