先日、81歳で死去した落語家の桂歌丸(かつら・うたまる)さんは晩年、チューブで鼻から酸素を吸いながら高座に上がった。持病の慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)が進行し、普通の呼吸では十分な酸素を取り込めなかったからだ▼COPDは、かつて肺気腫と慢性気管支炎と呼ばれていた病気の総称で世界的に患者が増えている。治療せずに進行すると、食事や着替えといった簡単な日常動作でも苦しくなり、寝たきりになる危険が大きい▼最大の原因はたばこ。日本の患者の9割は喫煙経験者だ。男性の死亡原因の第8位を占めるが、治療を受けているのは患者20~30人に1人ほどだろうと専門医はみる▼多くの人に「息切れは年のせい」という思い込みがあるからだ。現在の患者は高齢男性が多い。しかし将来は女性患者が増えるとの予測がある。男性より重症化しやすいとも▼ある継続調査によると、昨年末時点でCOPDを知っていると答えた人は25・5%。闘病しながら仕事を続け、時に患者として発言もした歌丸さんがいなければもっと少なかったかもしれない。歌丸さんの死去に際し、日本呼吸器学会は、この病気の啓発への貢献に感謝する追悼文を発表した▼COPDで傷んだ肺は元に戻らないが禁煙と薬、運動、栄養の組み合わせで進行は抑えられる。気になる人はぜひ、呼吸機能の検査を。