「鮨 須藤」を開店した須藤さん

 米ラスベガスのすし店などで腕を振るってきた栃木県佐野市出身の江戸前すし職人須藤仁(すとうひとし)さん(42)が故郷へ戻り、同市植野町にすし店「鮨(すし) 須藤」をオープンした。新型コロナウイルス禍の中、「安らぎを提供できるすし店」を目指していくという。

 須藤さんは江戸前の技術を受け継ぐ東京・白金のすし店や、レストランなどの格付け本のミシュランガイドでも紹介された川崎市のすし店などで約12年間修業。好きなダンスの本場の米国居住にあこがれ、2017年、すし職人の求人のあったラスベガスに赴いた。そこはハリウッドスターも通う有名店で、料理長を約4年間務めた。

 砂漠の中のラスベガスは新鮮な食材の調達が困難。時間はかかるが、信頼できる日本からのすしねたにこだわった。鮮度面でのハンディを克服するため、おせち料理を出すなど日本文化を表現することに注力し、魚の特徴を生かす江戸前の技術と創意工夫で乗り越えてきたという。

 その後、コロナ禍を受け「故郷佐野市の皆さんを元気にしたい」との思いを抱くようになり、夢だった独立開業を決意した。

 昨年6月に帰国し、佐野商工会議所などから開業に向けて支援を受けた。日本政策金融公庫佐野支店から無担保・無保証人の新創業融資制度の適用を受け、店舗改修資金などを調達した。

 1月12日に開店した店では、ヒノキ一枚板のカウンター(8席)と小上がりでもてなす。食器には市内の南山焼、近くのみかも焼、野菜などの食材は佐野産を使い、地元の魅力発信に努める。須藤さんは「誕生日など晴れの日、日常生活にない安らげる空間を料理とともに提供していきたい」と話している。