県内過去3季と今季のインフル患者数の推移

 栃木県内で今季のインフルエンザ感染の報告が、ほとんどない状態が続いている。流行度合いを測るための医療機関からの報告数は9月以降わずか6人、平均すると毎週「0・0」を保っている。昨季に続き、一度も流行しない状況に専門家は「新型コロナウイルスのオミクロン株対策の効果ではないか。全国民的に新型コロナと同等の対策を徹底すれば、インフルは継続的に激減させられる証かもしれない」と話す。

 「新型コロナ前だと、感染のピークの時季。検査するたびに感染が確認されるような状況なのに」。日光市木和田島、「いとうクリニック」の伊藤勇(いとういさむ)院長(63)は「例年」との違いを実感する。

 新型コロナワクチン接種の影響を受ける形で、今季はインフルエンザワクチンの供給量が少なく、接種開始の時期も遅れた。接種対象を高齢者に限定せざるを得なかったが「昨季同様、周りでインフル患者が出たという話さえないのが現状」と明かす。

 インフルの感染状況は、定点に指定された県内76医療機関からの毎週の感染報告数で判断される。週平均で1人を超えると流行入りと判断され、10人で注意報、30人で警報となる。

 県感染症対策課によると、2018~19年シーズンは19年1月下旬に67・0人、19~20年は19年12月下旬に25・7人を記録した。コロナ禍だった20~21年は一転、全ての週で0・0人となり、統計開始以降初めて流行入りしなかった。今季も同様となっている。

 ウイルス学を専門とする獨協医大の増田道明(ますだみちあき)教授は、新型コロナの出現でインフルエンザウイルスが弱毒化するとは考えにくいとし、オミクロン株の方がインフルより感染力が強い点を指摘する。

 「昨季も激減しており、マスク着用などの予防策を全国民的に続けている影響が大きい。オミクロンこそ広がっているが、インフルであればみんなの努力で十分抑えられるということ」と話す。一方で「インフルの症状があっても、新型コロナと診断されることの影響を懸念して受診を控える結果、インフル感染が表面化しない例もあるのではないか」とも付け加えた。