9日に閉幕したバレーボールの全日本高校選手権大会(春高バレー)。その取材現場で見かけたある光景が、脳裏に焼き付いて離れない。

 男女の3回戦と準々決勝が行われた7日。前夜の大雪の余波で寒風吹きすさぶ中、会場の東京体育館前にはノートパソコンを囲む数人の男女の姿があった。画面に映っていたのは春高バレーのネット中継。選手の好プレーに「やったー」と声を上げ、時には両手をギュッと握り祈るような姿も。どうやら西日本地区のある学校の保護者のようだった。

 大会はコロナ禍で2年連続の無観客開催。選手や指導者以外は入場できなかった。それでも「少しでも近くで応援したい」という思いが、会場へと足を運ばせたのだろうか。わが子に寄り添う親心に触れるとともに、一生に一度の晴れ舞台を直接目にできないやるせなさを感じずにはいられなかった。

 「やっぱり、見てほしいですよね」。大会前、本県男子の足利大付の中にも心境を吐露する選手がいた。全選手が事前アンケートに「親」や「中学時代の恩師」への感謝をつづっていた。無念の思いは同じはずだ。

 これも、コロナ禍が奪ったものの一端だ。だからこそ現場の「熱量」や、子どもたちの「勇姿」は余すことなく紙面で伝える必要がある。記者の一人として、自分がすべきことを再認識する出来事だった。