県の大規模接種会場でワクチンを接種する人たち=2021年6月16日、宇都宮市駒生町

 新型コロナウイルスワクチンの3回目接種を巡り、栃木県内の各市町からは住民が希望するワクチンの種類が偏ることに懸念の声が上がっている。副反応を考慮して米ファイザー社製の需要が高まる可能性があり、自治体は有効性や安全性を発信して不安の解消に努める。度重なる接種時期の前倒しへの対応も求められる中、関係者は今後の混乱を危惧している。

 新型コロナワクチン接種の1、2回目は市町に米ファイザー社製、県の集団接種や職域接種には米モデルナ社製が配分された。3回目では市町にファイザー、モデルナの両社のワクチンが供給される。

 栃木市では1、2回目の接種で9割以上がファイザーのワクチンを受けた。担当者は「3回目もファイザーを希望する人が多いと混乱が起きるかもしれない」と不安視する。さくら市の担当者も「ファイザーに希望が集中すると、接種が思うように進まない可能性もある」と危ぶむ。

 接種後、ごくまれに生じる心筋炎や心膜炎は10~20代男性でモデルナの方がファイザーより頻度が高いという報告もある。足利市の担当者は「対象者が若くなると、ファイザーの需要が増えるかもしれない」と指摘した。

 厚生労働省によると、3回目に使うモデルナワクチンの量は1、2回目の半分で、発熱や疲労などの副反応の報告は2回目より少ない。3回の接種後には2回より獲得する抗体が多いことや、初回と異なるワクチンを接種する「交互接種」でも抗体の量が十分増えることも分かっている。

 宇都宮市は科学的知見を基に、新聞折り込みや会員制交流サイト(SNS)などで情報発信する。担当者は「ワクチンの効果や副反応に関する正しい情報の周知に努めたい」とする。

 高齢者向けの接種開始時期は、2回目接種終了の8カ月後から6カ月後へと段階的に短縮されてきた。鹿沼市の担当者は「国の方針が頻繁に変わるので対応が難しい」と漏らす。壬生町は「8カ月を前提に書類を作り、そこに新たな書類を添付して前倒しを周知している。混乱が生じないよう対応したい」とした。