1980年代と2020年代の米国の共通点は-。政治や文化ではなく、物価上昇、すなわちインフレである。米国の消費者物価上昇率は昨年11月、前年同月比6・8%に達した。1982年以来の高水準だ▼米国だけではない。ドイツ、英国など欧州各国やお隣の韓国でも、中央銀行が目標とする2%を大きく上回るインフレが続く。背景には、コロナ禍から消費が戻りつつある一方で、なお続くサプライチェーン(供給網)や物流の寸断がある▼各国の中銀は、利上げして物価を抑えるべきか、低金利で景気刺激を続けるべきか、悩ましい判断を迫られている。中銀は長期的な視点から経済に最良な行動を取るという人々の信頼が死活的に重要となる▼バイデン米大統領は昨年11月、トランプ前大統領が指名したパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の再任を決めた。政治的分断が激しい米国だが、独立性が尊重されてきた。日本はどうか▼日銀審議委員などの人事は第2次安倍政権以降、アベノミクスに批判的な人材を排除。時の政権から独立して経済のために必要な行動を取るという期待はすっかりしぼんだように見える▼日本では目立った物価上昇は起きていない。だが、インフレが長い眠りから目覚めたとき、日銀にそれを抑えるだけの信頼が残されているのだろうか。