荒川政利(あらかわまさとし)栃木県教育長は7日の定例記者会見で、2023年度採用の教員採用試験から、全ての募集区分で受験年齢の上限を従来の45歳未満から満60歳未満に引き上げると発表した。全面的な引き上げは14年度採用試験以来、9年ぶり。教員は60歳定年のため、実質的な年齢制限撤廃となる。優秀な人材を幅広く募り、教育の質向上につなげる。
少子化による学生数の減少や民間企業との競合などを背景に、教員志望者は減少傾向にある。22年度採用の県内公立学校教員採用試験の応募者総数は1998人で、過去10年間で最多だった15年度(2752人)に比べ約3割減少している。
荒川教育長は「正規の教員を目指しながらも年齢制限で受験できなかった人や、民間企業経験者の優秀な方々に受験してもらいたい」と述べた。
県教委によると、講師など常勤の非正規職員のうち、45~60歳の人は県内公立小中学校に約360人、公立高校に約200人いる。関東ではすでに年齢制限を廃止している自治体が多く、今回の取り組みは他県への人材流出を防ぐ狙いもある。
年齢制限の撤廃について、県教職員協議会の熊倉孝郎(くまくらたかお)会長は「採用枠が少なかった氷河期世代で45歳を超えた人もいる。講師として学校現場で経験を積んだ優秀な人材や、一度は教職を諦めた人がもう一度受験のチャンスを得られる」と歓迎した。