獣舎に入る前に窓からトラがいないことを確認する飼育員=6日午後、宇都宮市上金井町

 那須町高久乙の「那須サファリパーク」で5日朝に飼育員3人がトラに襲われ負傷した事故を受けて6日、トラを飼育する県内外の施設では「普通なら起きない事故」「マニュアルがあったのになぜ」と衝撃と困惑が広がった。各施設は飼育員が獣舎へ出入りする際は複数人や複数回の確認をしているといい、近年は同様の事故の発生がない。一方で事故を重く受け止め、マニュアルの整備や周知徹底を図っている。

 今回の事故では前日の担当者がトラ舎内の獣舎にトラを入れず、隣の通路に残したままだった可能性が指摘されている。当日は担当者がマニュアルと異なり、トラ舎内に1人で入り、通路で遭遇したとみられる。

 「他の施設の出来事とは思えない。動物にも不幸な事故」。6頭のトラを飼育する「宇都宮動物園」(宇都宮市上金井町)の荒井賢治(あらいけんじ)園長は険しい表情で語った。同園は閉園後、トラが獣舎に収容済みで展示スペースにいないことを扉の小窓から確認する。事故の一報を受け、口頭で引き継いできた獣舎出入り時の注意点を紙にまとめた。

 8年ほど猛獣担当をしている男性飼育員は「怖さは今でもあるし、失ってはいけない」。施錠の指さし確認、小窓からの位置確認-。「一つ一つの確認を怠らなければ、事故は防げたのでは」と首をかしげた。

 茨城県の「日立市かみね動物園」の担当者は「今回は人為的ミスがあったのでは」と推測し、二重チェックの重要性を訴えた。同園は猛獣を獣舎から出入りさせる際、必ず飼育員2人で行動する。1人が鍵の開け閉め、動物の位置確認を行い、もう1人は決められた手順通りか監視するという。

 従業員に施錠の指さし確認などを徹底するよう注意喚起したのは、群馬県富岡市の「群馬サファリパーク」。定期的に安全対策マニュアルを見直しており、担当者は「まずは現状のマニュアル対応を徹底したい」と気を引き締めた。