2001年3月、南太平洋の空を幾筋もの光が尾を引いて流れた。冷戦末期に打ち上げられたロシアの宇宙ステーション「ミール」の最期だった。重さ130トン超の人工物が大気圏に突入するとあって世界中が大騒ぎになった▼次は国際宇宙ステーションが同じ運命をたどることになる。米航空宇宙局(NASA)の監察官室は昨年11月、30年ごろまでのステーション運用終了が避けられないとする報告書をまとめた▼最初の部品打ち上げから20年余り。過酷な環境下で老朽化が進み、空気漏れなどのトラブルが相次ぐ。寿命を延ばしも限界に近づいている。サッカー場ほどのサイズで重さはミールの3倍。史上最大の「宇宙ごみ」の落下で再び大騒ぎになりそうだ▼NASAはステーションの運用を30年まで続け、並行して企業による商用ステーションを建設する方針。ただNASAの計画には遅れがつきもの。予算面の不安もあり、商用ステーションが順調に建設される保証はない▼日本の行く先も見えない。政府は20年代後半に日本人の月着陸を目指すが、有人飛行手段を持たないため「米国頼み」の状況である▼国際協調の象徴だった現行ステーションがなくなると、米国とロシア、中国との競争が顕在化する可能性もある。多極化の時代を迎える宇宙で日本はどう生き残るのか。