愛美利ちゃんが亡くなって4年。両親は認可外保育施設の安全性の向上を訴え続けている=24日午後、宇都宮市内

 宇都宮市の認可外保育施設「といず」で、2014年7月、同市、山口愛美利(やまぐちえみり)ちゃん=当時9カ月=が死亡した事件は26日、発生から4年を迎えた。「悲劇が繰り返されるのではないか」。政府が6月に閣議決定した「骨太方針」で、認可外保育施設としての国の基準を満たしていない認可外保育施設も利用料補助の対象としたことに、愛美利ちゃんの両親は不安や怒りを隠せないでいる。「悪質な施設を減らしたい」。4年がたった今も、その思いを強くしている。

 「4年たったとは思えない。後悔のまま終わらせたくない」。愛美利ちゃんの遺影を前に、父親(52)と母親(40)は力を込める。

 華美な宣伝文句をうたいながら実態は保育士不足が常態化し、子どもを毛布とひもで「ぐるぐる巻」にするなど劣悪な環境だった「といず」。施設長には保護責任者遺棄致死罪などで懲役10年の判決が下ったが、両親は現在、詐欺罪での処罰を求めているほか、民事では対応などを巡り宇都宮市と係争中だ。

 幼児教育・保育の無償化の一環として、来年10月に始まる予定の認可外保育施設の利用料補助。自治体が認定した世帯を対象に3~5歳児で月3万7千円を上限に補助し、0~2歳児も住民税非課税世帯に月4万2千円を補助する。

 子育て世代の負担を減らす制度としては、愛美利ちゃんの父親も賛同する。しかし認可外保育施設の中には保育士の数や割合など国の指導監督基準を満たしていない施設はあり、懸念も覚える。「基準を満たさない施設も補助の対象にしたら悪質な施設は減らない。保護者も安全性が認められたと勘違いする」と憤る。

 厚生労働省によると、04~17年、認可保育所で発生した死亡事故は59件。認可外保育施設は131件だった。15年度に自治体が立ち入り調査した約4500の認可外保育施設のうち、指導監督基準を満たさない項目があったのは1800施設に上った。

 基準を満たさない認可外保育施設への補助について厚労省は「利用者の立場から公平性を考慮した。批判があるのも承知している」と説明。同施設への補助は5年間と期限を設けており、厚労省は「(その間に)認可外施設の質の向上を図っていく」とした。

 両親の代理人を務める寺町東子(てらまちとうこ)弁護士は「悪質な施設を排除するための基準さえ、守っていなくても補助の対象になっている」と批判。「懸命に努力している認可外施設をも冒涜(ぼうとく)している」と補助対象からの撤廃を訴えている。