地域の仲間と共に書店文化を守ってきた「那須ブックセンター」のレジに立つ谷店長(右)=27日午前10時20分、那須ブックセンター

地域の仲間と共に書店文化を守ってきた「那須ブックセンター」のレジに立つ谷店長(右)=27日午前10時20分、那須町高久丙

地域の仲間と共に書店文化を守ってきた「那須ブックセンター」のレジに立つ谷店長(右)=27日午前10時20分、那須ブックセンター 地域の仲間と共に書店文化を守ってきた「那須ブックセンター」のレジに立つ谷店長(右)=27日午前10時20分、那須町高久丙

 栃木県那須町の高原地区で唯一の書店「那須ブックセンター」が31日、閉店する。4年前、書店空白地域に開業し、地元客らが支援団体「那須ブックセンターを応援する仲間たち」を結成して経営を支えてきたが、売り上げは伸びず、店じまいを決めた。「人と本が出会う場所」を掲げた同書店。跡地には来年4月、「仲間たち」が中心となって同町唯一の子ども食堂を開設する予定で、新たな交流の場として思いを引き継ぐ。

 今月中旬、同書店の谷邦弘(たにくにひろ)店長(65)は、1冊の漫画雑誌を入荷できないか、関係先に問い合わせていた。少女向けの月刊「別冊フレンド」(別フレ)最新号。付録で人気が沸騰し、全国的に品薄になっていた。

 同書店へ毎号欠かさず買いに来る小学生の女児のためだった。閉店を間近に控え、「最後の別フレ」を意地でも手渡そうと手を尽くしたが、全て断られた。

 「いつも買ってくれる女の子に1冊の別フレも売ることが出来ない、それが悔しい」。地方の小規模書店の胸の内をツイッターで吐露すると、瞬く間に拡散されて話題となり、翌日には入荷が決まった。谷店長は「発売日には間に合わなかったが、女児が喜んでくれてよかった」と安堵(あんど)した。

 2017年10月、那須中向かいのコンビニエンスストア跡地に開店。「地域の本屋さん」を守ろうと「仲間たち」が集い、季刊紙を発行したりイベントを開催したりしてきた。キッチンカーも出店するなど交流の場となっていたが、厳しい経営状況が続いていた。

 来春開設予定の子ども食堂には、地元芸術家の作品などを並べるギャラリーや絵本販売コーナーを備える。食堂の準備資金に充てようと那須塩原市内で24日、チャリティーコンサートを開き、約30人が来場した。

 同書店を経営する会社「書店と本の文化を拡(ひろ)める会」(同町高久丙)の内田眞吾(うちだしんご)代表(77)は「力不足で申し訳ないが、地域の文化を守るという志は引き継がれていくので、ほっとしている」と話した。

 営業は最終日まで休まずに続ける。谷店長は「店を利用してくれた人たちのために、最後までスタッフと仕事を全うする」と、思いを込め店頭に立つ。