特定空き家の解体現場。外壁が崩落し、隣接する住家の一部が破損する被害が出ていた=14日午後、足利市内

 増え続ける空き家への対策で急務となっているのが、倒壊などの恐れがある「特定空き家」だ。栃木県内では年間150件前後が市町による指定を受けている。近隣の家や道路に危険が及ぶ恐れもあり、自治体が所有者に代わり強制的に解体を行う「代執行」の事例も出てきた。ただ、空き家の処理を「行政がやってくれる」ととらえられかねない面や、費用回収など課題も多い。

 12月中旬、JR足利駅からほど近い足利市中心部の住宅街。外壁がはがれ落ちた2階建ての建物を重機が次々と取り壊していく。空き家対策特別措置法に基づく代執行は同市では初となる。

 建物は築50年超の元店舗兼住宅で、所有者法人が解散し30年以上空き家となっていた。市が近隣住民から相談を受け、法人の元代表に指導を繰り返したが進展はなかった。一昨年に外壁が崩落し、隣接住家の一部が破損する被害が出ていた。

 特定空き家の指定は2015~20年度の6年間で約千件に上っている。代執行はこれまで、宇都宮や佐野など5市で計5件行われ、足利市の事例は6例目。同市の担当者は「住民の命にも関わり、これしか手段がなかった」と説明する。

 特定空き家の代執行 空き家対策特別措置法で定められた自治体の権限。倒壊などの恐れがある物件を特定空き家に指定し、改修などを指導、勧告、命令し、従わない場合は「行政代執行」で解体などの措置を強制的に行う。所有者が死亡するなどし不在の場合は「略式代執行」となる。費用は自治体が一時的に負担し、所有者から回収する仕組み。