枕を毎日、丸ごと洗濯するなど念入りな感染対策に取り組む旅館=24日午後、那須町湯本

 書き入れ時の年末年始が迫った県内観光地の宿泊施設に、新型コロナウイルスのオミクロン株への不安が広がっている。コロナ禍以前の水準に満たないながらも、感染拡大でキャンセルが相次いだ昨年末と比べ客足が回復した宿泊施設。「昨年末のような事態は避けたい」「できることをやるしかない」-。関係者は苦しい胸の内を吐露した。

 「海外でオミクロン株の感染が急拡大しているのが怖い。キャンセルが相次いだ昨年末のような事態は避けたい」。日光温泉旅館協同組合の赤澤正(あかざわただし)理事長(55)は声を落とした。

 経営する日光市内のホテルは、感染者数が落ち着いた秋ごろから修学旅行の予約が「びっしり」と入った。県民の宿泊や日帰り旅行代を割り引く「県民一家族一旅行」事業も好調という。「昨年より客足が増えたのはとてもありがたい」

 ただ「コロナ禍以前とは比較にならない」と言う。密回避のために収容人数を6割程度に制限するなど、身を切って感染対策に苦心している。灯油や食材など諸経費の値上がりも負担としてのしかかる中で迫るオミクロン株の影に「ダブルパンチだ」と嘆いた。

 旅館やホテル約30軒が加盟する那須温泉旅館協同組合では、おおむねコロナ前の9割近くまで予約が回復した。しかし片岡孝夫(かたおかたかお)理事長は「コロナが流行して以降の2年間で業界が受けたダメージを取り戻すには足りない」と語る。

 ふるさと納税の返礼品に宿泊利用券を登録するなど「交付金や補助金に頼り切りにならない」仕組み作りに那須町と連携して取り組む。

 同観光地は東京近郊からの宿泊客が多数を占める。オミクロン株の感染拡大の懸念から予約を控える動きもあるという。片岡理事長は「嘆いてばかりではいられない。状況に応じてできることに取り組んでいく」と力を込めた。