東京五輪バスケットボール女子準々決勝のベルギー戦。2点差を追う日本は、試合終了まで残り16秒の危機的状況で林咲希(はやしさき)選手が奇跡の3点シュートを決めて大逆転勝利し、日本中が歓喜に包まれた。今回の散歩は、あの3点シュート誕生の地を訪ねよう。

林選手が「住んでいた」体育館で3点シュートの練習をする後輩たち

白鴎大のOG

 JR小山駅から西へ向かい、思川の長い橋を渡り始めると、左前方の向こう岸に私たち白鴎大の大行寺キャンパスが見えてくる。体育館をのぞいてみると、熱心に自主練習をするバスケ部員の姿があった。ここで、あの「伝説の3点シュート」は生まれたのか!

 実は、林選手は白鴎大の卒業生で、あの3点シュートは大学バスケ部員時代に身に付けたものだった。同部の佐藤智信(さとうとしのぶ)監督は、高校時代に林選手を見て近距離シュートのタッチが上手(うま)い点に目を付け、長距離シュートもきっと得意になるだろうと白鴎大に誘ったそうで、「それが当たった」とうれしそうに語る。

 1年生の時から始めた3点シュートの練習量の多さは、「林は体育館に住んでいる」と言われたほど。朝7時から、全体練習が終わった後の夜10時まで練習を続ける林選手を心配した監督が、「自主練禁止」と告げたこともあったという。

佐藤監督(左)と林選手

卒論テーマに

 そんな努力が生んだ奇跡は、あの五輪だけではない。2016年の関東大学女子リーグ戦では、3点差を追う残り5秒から林選手(当時4年生)の3点シュートで追いつき、延長戦で勝利。同年のインカレ決勝でも、逆転3点シュートで白鴎大を初優勝に導いた。

 そしてなんと、林選手は卒業論文までこのテーマで書いていた! 「成功率を上げるには研究が必要」と述べ、部活の仲間や他大学の選手までも対象にして、映像を解析したり、詳しいアンケートを取ったり。その研究を行ったのは日本バスケットボール界で林選手が初めてで、文中の分析データは今も白鴎大バスケ部の練習に生かされている。

 当時卒論を指導した金田健史(かねだたけし)教授は、「文武両道とはこういうことだよね、という代表的な学生だった」と振り返る。同じ白鴎大出身であることを誇りに思う、散歩の帰り道でした。