砂浜でロケに臨む吉岡里帆さんら=10日午後3時35分、沖縄県名護市安部

 太平洋戦争末期に沖縄県知事だった島田叡(しまだあきら)と、沖縄県警察部長を務めた宇都宮市出身の荒井退造(あらいたいぞう)らの姿を描く映画「島守の塔」の撮影が10日、沖縄県名護市の安部海岸で行われ、栃木県などを含む全てのロケ地での撮影が完了した。五十嵐匠(いがらししょう)監督(63)は「戦争の愚かさを知る意義深い作品となる」とした。編集作業などを経て2022年3月に完成し、同年内に公開される予定。

 ロケ最終日は、島田に間近で仕える県職員役を務める俳優吉岡里帆(よしおかりほ)さん(28)や、吉岡さんの妹役を演じる沖縄出身の池間夏海(いけまなつみ)さん(19)、同じく沖縄出身の蔵下穂波(くらしたほなみ)さんらが撮影に臨み、吉岡さんのラストシーンなどの場面をカメラに収めた。

 白い砂浜がオレンジ色の夕焼けに染まった午後4時25分、全てのカットの撮影が終わると「オールアップです」の掛け声。出演者、スタッフ、エキストラ、製作関係者らから自然と大きな拍手がわき起こり、安堵(あんど)の笑顔が広がった。

 池間さんは「島田さんや荒井さんのことを若い世代に知ってもらい、後世に伝えていく作品になってほしい」と力を込めた。

 「島守の塔」は戦後75年の節目となる2020年3月に撮影をスタートしたが、新型コロナウイルスの影響で休止を余儀なくされた。全国約2500件に上るサポーターからの支援寄付の力もあり、今年11月に栃木で撮影を再開。県内5市町や沖縄などでロケを重ねた。コロナ禍を乗り越えた作品として、沖縄返還50年の節目となる22年の公開を目指す。

 五十嵐監督は「1年9カ月(の休止)は重圧があり苦しかったが、その間にスタッフや出演者が作品を思い、相当準備を重ねてくれていた。島田の出身地である兵庫、荒井の出身地栃木、そして沖縄のトライアングルでたくさんの人に見てもらえる作品になると思う」と胸を張った。

 「島守の塔」は、3県の地方紙である下野新聞社と神戸新聞社、琉球新報社、沖縄タイムス社などで製作委員会を構成している。