杉山公美弥副院長

 新型コロナウイルスのワクチンで生じる抗体の量が、接種から半年後には3カ月後と比べて約3割減少したことが3日までに、国立病院機構宇都宮病院などの研究で分かった。喫煙者や高齢者は特に抗体量が少ない傾向にあった。研究責任者の杉山公美弥(すぎやまくみや)副院長(56)は「禁煙することが、ワクチンの効果を高めることにつながる」と指摘している。

 研究は獨協医大と自治医大の両大学と共同で実施した。

 同病院は8月、ファイザー社製のワクチンを2回接種した職員のうち、喫煙者や高齢者は3カ月後に免疫機能の強さを示す「抗体価」が大きく低下したとする論文を発表した。今回も、引き続き調査対象となった20~70代の職員365人に対して、2回の接種を終えてから半年後の抗体価を調べた。

 研究結果によると、抗体価の中央値は全年代で接種完了の3カ月後より下がっていた。減少率は29・4%だった。ただ、50~60代の職員6人を対象に測定した2回目接種日の抗体価と比べると、4倍ほど高かった。

 年代別で見ると、60~70代の抗体価は20代の半分程度だった。年齢差を補正して喫煙の有無で比較すると、喫煙者の抗体価は喫煙の経験がない人の半分程度で、禁煙した人と比べても8割ほどにとどまった。男女別では女性の減少率は31・6%と、男性より6・5ポイント高かった。

 杉山副院長は喫煙によって抗体価が下がる理由について「肺には呼吸で取り込まれる病原体を排除するため、免疫が発達している。喫煙により、免疫機能が抑制されることが影響した可能性がある」と指摘。感染や重症化の予防に有効な抗体価の程度は分かっていないが、禁煙した人は喫煙中の人より抗体価が高かったことに着目し「3回目の接種でより多くの抗体を維持するためにも、禁煙を検討してほしい」と呼び掛けた。