絶滅危惧種のニホンウナギが日本人の胃袋に大量に収まった土用の丑(うし)の日。その直前に、今期、養殖池に入れられた約14トンのウナギの約6割が、出所不明という気になるニュースに接した▼日本で漁獲された稚魚のシラスウナギ約9トンのうち3・5トンが、義務となっている漁獲量の報告をしなかったか密漁品だと疑われる。輸入ものの約5トンはウナギ漁のない香港産で、台湾などで漁獲されたものが違法に持ち出され、日本にやってきたらしい▼成熟して繁殖のため海に下るウナギは皮膚が銀色に輝いて見えることから「銀ウナギ」の名がある。だが、日本の市場にはこれとは別に、闇のブラックマーケットから供給される「黒いウナギ」が大量に出回っているらしい▼折しもジュネーブではワシントン条約の委員会が開かれ、ウナギ類の保護が議題になった。ニホンウナギをワシントン条約の対象種にすれば、怪しげな輸入に対する強力な歯止めになるはずなのだが、国内の業者などからの反対論が強い▼条約の対象となっても取引が禁止されるのではなく、許可証の発行によって不正な取引を排除しようとの取り組みが進むだけなのだから、正直者にとってはいいことだ▼規制に反対するのは、黒いウナギが手に入らなくなると困る人々なのではないか。ついついそう勘ぐりたくなる。