イノシシ対策で4県が協議会を設立する計画の渡良瀬遊水地

 渡良瀬遊水地でイノシシの目撃情報が増えていることを受けて、栃木県と茨城、群馬、埼玉の4県が連携協議会を設立し、生息状況調査や捕獲を推進する方向で調整していることが、15日までに県への取材で分かった。集中的対策で個体数を一気に減らし、ラムサール条約湿地に登録された希少な自然環境の保全や災害対策にもつなげたい考えだ。

 栃木県が中心となって協議会の設立に向けて調整しており、他の3県も趣旨に賛同しているという。環境省は、複数の都府県が連携した協議会による広域捕獲を交付金で支援している。

 遊水地にはイノシシは元々生息していなかったとされるが、近年は遊水地に近い農地での被害や市街地への出没が相次いでいる。

 2019年10月の台風19号では遊水地がほぼ満水状態に冠水。イノシシが一斉に堤防を越えたり河川敷に逃げたりする姿も確認された。今年4月には遊水地に近い野木町友沼で60代男性が襲われ、左太ももに軽傷を負う事故もあった。

 こうした事態を受け、関係市町はホームページや看板などで注意を促している。県は本年度、野木町で20頭捕獲を目標にわなによる捕獲事業を実施。小山市もわな設置の準備をしており、国の許可を待つ状況だ。

 一方で「個別の対策では効果に限界もある」(県自然環境課)。さらにイノシシによる掘り返しは堤防の強度低下を招く恐れがあるほか、イノシシが豚熱(CSF)ウイルスを媒介する可能性もあるとして、4県が連携して国の交付金を使い、大がかりな対策に乗り出すことを検討している。

 同課の担当者は「本来の生息地ではなく、限定的なエリアである分、集中的に捕獲すれば効果は出やすいはずだ。他県との調整を進めたい」などとしている。

 協議会では遊水地に生息するニホンジカも調査・捕獲の対象にする方針だ。

 獣害対策の広域連携を巡っては栃木県と福島県、茨城県が八溝山付近でニホンジカを捕獲するなどの先行事例がある。