政府は新型コロナウイルスの飲み薬「モルヌピラビル」の供給について米製薬大手メルクと合意した。英国が世界に先駆けて承認した新薬だ▼飲み薬の登場そのものが大きな朗報だが、この薬は国連が支援する特許管理組織を通じ、他のメーカーも特許使用料を負担しない発展途上国向けの安価なジェネリック医薬品(後発薬)として製造可能になった▼特許を一括管理する組織「医薬品特許プール」が10月下旬にメルクと交わした合意文書によると、製造を希望する世界のメーカーは医薬品特許プールの承認を受ければ、105カ国の途上国向けに、特許使用料を支払うことなく製造できる▼メルクはインドの後発薬メーカーと個別の委託製造契約をしているが、多くの製薬会社が製造に関心を示しているといい、国連合同エイズ計画(UNAIDS)は「利潤より公衆衛生を優先した良い一歩」と評価した▼「私たちは『科学』の試験にパスしたが、『倫理』で落第点を取りそうだ」。9月の国連総会でグテレス事務総長は新型コロナワクチンの接種で、先進国と途上国の格差を嘆いた▼それでも、ワクチンを途上国に配布する国際枠組みCOVAX(コバックス)などを通じて途上国へのワクチン供給が増えている。ワクチンも治療薬も、全人類にできる限り公平に行き渡らせたい。