全国各地を歩いていて、こんなところに書店がある、と驚くことが増えた。かつてどこにでもあった「まちの本屋さん」は、商店街の衰退やインターネットの普及、大型書店の全国展開などで多くが姿を消した▼一方、個性が際立つ小さな書店が近年、次々に生まれている。都市部以外での開店もそこそこあるのが面白い。大正大学出版会が発行する月刊誌「地域人」が、この現象を11月10日発行号で特集している。題して「本屋は続くよ」▼同大地域構想研究所が編集する。地域に生き、地域を生かす人々の活動を通して得た前向きな情報を届けるのが狙いといい、世界遺産、日本ワイン、手仕事といったテーマを扱ってきた。今回は全国37軒の本屋を取材した▼平日は午後11時から午前3時まで開く広島県尾道市の古書店、本好きが日替わりのボランティアで店番をする横浜市の書店、パン工房併設の福岡市の書店もある▼「本を読んでいるときは、外で働いている時間とは違って、その人自身に帰っていく」。そう考える店主は、来店者の気持ちが解き放たれる空間づくりに腐心する。いずれも地域に必要な場でありたいという願いを感じる▼書店は地域の文化インフラであり、情報発信地なのだと痛感する。消える書店、新たに生まれる書店。確かに本屋は続いていくのだろう。