約1万年続いた縄文時代。青森市の三内丸山(さんないまるやま)遺跡など17遺跡で構成する「北海道・北東北の縄文遺跡群」が7月、ユネスコ世界遺産に登録され、改めて注目されている▼折しも県立博物館で企画展「木と木の実の考古学」が開かれている。縄文時代と言えば土器と石器をイメージするが、一般にあまり知られていない「低湿地遺跡」に焦点を当てたものだ▼低地や湿地では、水や泥炭層によって空気に触れることがなく腐り切らないため、くしなどの木製品や食用となる木の実などが出土する。もろく壊れやすいので展示総数160点のうち、70点は保存処理済み▼日本最古の丸木舟(千葉県雷下(かみなりした)遺跡)や、約300個がぎっしり詰まったクルミかご(福島県鷺内(さぎうち)遺跡)など見どころは多い。県内では寺野東遺跡(小山市)と明神前遺跡(鹿沼市)が代表例で、水場付近に木材を組んだ木組遺構が有名である▼トチの実などのアク抜きを行った、水さらし場と考えられている。出土した石皿や磨石(すりいし)のほか、土壌から出た花粉や種子、昆虫からは当時の生活や自然環境が推測できる。「低湿地遺跡はタイムカプセル」という学芸員の解説に納得する▼石斧(せきふ)を使った木の加工や木製品に漆を塗る技術は驚くほど高度。豊かな自然を最大限に活用した縄文人の暮らしぶりの一端が身近に感じられる。