被害者がやりとりした相手から送られた偽の写真や身分証(「STOP国際ロマンス詐欺」HPから)

国際ロマンス詐欺で使われる職業や肩書きの一例

被害者がやりとりした相手から送られた偽の写真や身分証(「STOP国際ロマンス詐欺」HPから) 国際ロマンス詐欺で使われる職業や肩書きの一例

 会員制交流サイト(SNS)で知り合った外国人から金銭をだまし取られる「国際ロマンス詐欺」の被害が昨年から今年にかけ、栃木県内外で相次いでいる。甘い言葉で恋愛感情を抱かせ、トラブル解決への支援を名目に送金を迫る手口だ。県警によると、過去3年間の県内被害相談は56件に上る。コロナ禍で出会いが減り、SNSデビューした中高年の被害も目立つ。専門家は「突然近づいてくる外国人アカウントにまともなものはない」と注意を呼び掛けている。

 「あなたと残りの人生を送りたい」。群馬県在住の男性(64)は昨春、マッチングアプリで知り合った「女性米軍人」からこう言われ、宝石を受け取る証明書名目で約200万円を送金させられた。「戦地は安全でない」「日本に行くまで私のために保管して」とのうそを信じてしまった。

 県内在住の男性(43)は昨年5月、「英国銀行の幹部女性」から資産相続話を持ち掛けられ、約500万円をだまし取られた。

 国際ロマンス詐欺に詳しい作家でカウンセラーの新川(しんかわ)てるえさん(57)は「詐欺のプロによるマインドコントロールです」と指摘する。

 きっかけはSNSを介した外国人からの友達申請やメッセージ。戦地の軍人や看護師など危険を伴う職業に成り済ますことが多い。添付された写真の大半は、容姿端麗な白人だ。

 最初は「両親を亡くし施設で育った」「日本でビジネスをしたい」といった身の上話が続く。日常生活の写真も送ってきて、次第に「一緒に住みたい」「パートナーになろう」との甘い言葉で恋に落とす。

 だが突然、事故や病気などの“トラブル”が発生する。「手術費が足りず死んでしまう」「退役の諸費用が払えず戦地から抜け出せない」と助けを求めてくる。

 金銭を要求する際は、軍の身分証やパスポートなどを示して信用を高めることも。狙われるのは30~70代が中心で、数百万~1千万円超と被害が高額なのも特徴だ。

 こうした手口は40年ほど前にアフリカのナイジェリアから広がったとされ、世界各国で被害が出ている。コロナ禍も被害拡大に拍車を掛けているという。新川さんは「コロナ禍で、独身の中高年が『このまま独りでいいのか』とSNSを始め、だまされるケースが多い」と警鐘を鳴らした。