驚異的な技で見る者を魅了した東京パラリンピックが閉幕して2カ月。本県出身の3選手が出場した車いす競技はメダルの獲得もあり、特に印象に残っている▼障害者は世界人口の約15%を占めるという。病気や事故で自分がその1人になる可能性は十分あるが、普段、接点を持つ機会はあまりない。近づいた気がした距離は、やはり遠いままだ▼小山市社会福祉協議会が企画した、夜の市街で車いすに乗る体験イベントに加わった。いざ繰り出したまちなかは、世界が違って見えた。雨で水たまりができないよう設けられた歩道のわずかな傾斜が真っすぐ進むのを阻む▼交差点はもっと手ごわい。車道と歩道の境にある数センチの段差。視覚障害者には必要だと分かっているが、越えられず、いすから放り出されそうになった。風景どころか足元ばかり見てしまう▼約500メートル先の目的地は恐ろしく遠く感じた。これでは気軽に外出できない。車いすに限らず、私たちは障害者が置かれた日常をあまりにも知らないのではないか▼各自治体にある社協なら、溝を埋められるのかもしれない。障害者が、そうではない人と同様、自由に街に繰り出し、活躍できる社会をつくるのがパラリンピックの究極の目標だ。感動覚めやらない今、多様性を認め合えるよう、理解を深める手助けをしてほしい。