田川の橋脚をスクリーンにして行われた「田川ブリッジシアター」。宇都宮空襲を扱った宇梶さんの作品などが上映された=2日夜、宇都宮市今泉2丁目

 76年前の悲劇に若者が向き合う。それが、人と人をつなぐ力になると知った。

 10月2日夜、宇都宮市中心部を流れる田川の橋脚をスクリーンにした上映会。 「命の尊厳から戦争を考えること。戦争がなければ原爆はないんです」。顔に深いしわを刻んだ宇都宮空襲体験者が映し出された。

 宇都宮共和大2年、宇梶宏海(うかじひろうみ)さん(20)が作った短編映画だ。参加者から「子どもに見せたいと思った」と声を掛けられ、平和の尊さを訴えようとする思いが報われた気がした。

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 制作では平和活動に関わる年配の人たちが「若者が戦争について考えてくれるのがうれしい」と応援してくれた。「自分たちがやっていることに意義がある。行動すれば、多くの世代に広められるのではないか」 自分たちの力で政治を変え得ると信じて一票を投じようと思う。「被爆国として平和の大切さ、核の悲惨さを世界に伝えてほしい」と政治に求める。

 岸田文雄(きしだふみお)首相が言及した「核兵器のない世界」。志に期待はするが、具体的な行動となると「言葉を濁している」と感じる。野党には「批判ばかりではないのか」の印象を受けてしまう。

 高齢者の影響力の強まる「シルバー民主主義」を変えたいと願う。20歳、初の国政選挙。「若者の声を受け止める意志」を政策や訴えから見極めるつもりだ。

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 那須烏山市中央1丁目、嶋田貴子(しまだたかこ)さん(59)は、核兵器禁止条約で日本の進展を望む。「まずオブザーバー参加を実現すること。誰が見ても一歩前進という成果がほしい」

 両親が広島で被爆した「被爆2世」。被爆者から体験を受け継いで伝える「伝承者」になるため、4年前から、広島市の研修に通う。修了はまもなくだ。

 「差別もいじめも、自分と異質なものを攻撃する意味で戦争と一緒」。身近な地域の平和教育でそんなことを伝えたいと考える。

 「平和や非核は政党を問わず全員が政治家として、実現への道が険しくても信念を訴え続けるべき問題」と信じている。

 前提がある。「お金も食べ物もない人が、平和のことを考えられるはずがないでしょう」。自身は司法書士として未成年後見人を務め、子どもの人権などについて発信してきた。

 人権侵害や貧困、格差の解消-。「平和に関心を向けられない人をどう救うか」。票を託す相手を見定める大切な視点だ。

 ミニ解説 

 広島選出の岸田首相は「核兵器のない世界を目指す」とする一方、核兵器保有国が参加していないことなどを理由に、核兵器禁止条約の締約国会議へのオブザーバー参加に否定的な姿勢を示す。オブザーバー参加は、会議で議決権はないが各国の意見を聴き、議論に関与できる可能性がある。

 公明党や立憲民主党などはオブザーバー参加を公約に盛り込む。共産党、社民党は条約の批准も掲げる。