配布する食料品を袋に詰める女性スタッフ=22日午前、小山市内

 野菜に米、缶詰…。NPO法人「子どもの育ちを支える会さくらネット小山」(小山市)の女性スタッフが、食料品を手際よく車に詰め込む。届け先は経済的に困窮する子育て家庭などだ。

 市内のパート従業員女性(48)は月1回食料品を受け取る。「おかずは普段、もやしばかり。配食サービスはとても助かる」。息子との食事に思いをはせた。

 10年ほど前から息子2人を育ててきたシングルマザー。今はフルタイムで働いているが、月給は10万円を少し超える程度にとどまる。ひとり親家庭への自治体の手当などで、月4万円ほど支給される。

 社会人になった長男が家に入れられるお金もわずか。家賃、光熱費、食費…と出費はかさむ。

 高校2年生の次男には発達障害があり、中学時代は不登校になった時期もあった。進学先を決める時、「学費は高いが障害特性に積極的に向き合ってもらえる」と私立高を選んだ。

 旅行など子どもたちに多くの経験をさせられる余裕はなかった。

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 子ども施策は貧困だけではない。虐待やいじめ、幼児、学校教育、少子化対策など数多く、担当は複数省庁にまたがる。

 自民党は衆院選前に、「縦割り」の打破を図り、子どもの課題に総合的に対応する「子ども庁」創設の検討に着手。「こどもまんなか基本法」の制定を公約に盛り込んだ。

 野党は立憲民主党が子ども・子育て予算を倍増し、将来的な「子ども省」の創設を明記した。各党は現金給付など幅広い政策を訴えている。

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 女性はコロナ禍で生活基盤の弱さを改めて感じた。

 9月、長男がコロナにかかり、濃厚接触者として2週間ほど自宅待機となった。時給制のため働けなくなれば、その分、給料は減る。給料は5万円にまで落ち込んで、家賃の支払いもままならならず、待ってもらった。

 発達障害への理解不足やひとり親家庭の生活の厳しさは、当事者にならなければ気付かなかったと思う。

 困窮する生活や子どもたちの成長に、政治が手を差し伸べてくれた実感はあまり湧かない。「政治には期待できない」との思いもよぎる。けれど「助けが必要な人が埋もれない、優しい社会になってほしい」と強く願っている。

 ミニ解説 

 自民の「こどもまんなか基本法」は、誰も取り残さない育成環境整備が目的。親子の一体的支援拠点を全市町村に創設するとしている。公明党は高校3年までの子ども1人当たり10万円の支給を掲げ、自民も協調する構えだ。

 立民は子どもの権利保障を基本理念とする「子ども総合基本法」成立を掲げる。ヤングケアラーの実態に即した支援なども公約に盛り込んでいる。