衆院選の争点となる経済政策について記された各党の政策集

 新型コロナウイルス禍で傷んだ経済を立て直し、安定的な生活の基盤をつくる-。その方策が衆院選の大きな争点だ。

 飲食業の職場で働いていた宇都宮市、男性(61)は7月、市内の勤務先が倒産し職を失った。コロナ禍で客足が激減したことが引き金になった。

 独り身だが、失業保険はわずか。蓄えも多くない。「働かなきゃ生きていけない」。すぐに仕事を探したが、コロナ禍での職探しは想像以上に難しかった。

 いくつもの求人を当たったが、希望する飲食業界で働き口は思うように得られない。還暦を過ぎた年齢もネックになった。

 そんな時、役所から数カ月分の住民税7~8万円の支払いを求める通知が届いた。「生活は苦しいというか持ち出し」でも、収めなければならない。「こんなにいっぺんによこすなよって。仕事をしてないのに、それっておかしくないか」

 「アベノミクス」で格差が広がったとされる中、コロナ禍によって、生活に困窮する人は後を絶たない。

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 各党は、競うようにさまざまな「給付金」を公約に掲げる。

 所得の再分配の論点もある。自民党は「新しい資本主義」による経済成長と合わせ「分厚い中間層の再構築」を訴える。野党は、立憲民主党が「時限的な年収1千万円程度までの所得税実質免除」などを公約に盛り込み「1億総中流社会の復活」を言う。

 「成長が先か、分配が先か」との議論もあるが、いずれも幅広い層の所得増を狙う政策だ。

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 飲食業界で仕事を探していた男性は2カ月半たった10月、福島県内の温泉旅館で働くことが決まった。

 給付金を巡る公約には、一時的にもらっても生活の安定にはつながらない、と冷ややかだ。

 客足が頼りの飲食業に携わってきただけに「コロナを収束させて世間が普通に回るようになってくれた方がよっぽどよい」と思う。

 有権者には、与野党ともに使う「分配」の言葉に戸惑いもある。

 文星芸術大(宇都宮市上戸祭4丁目)3年岩田菜々美(いわたななみ)さん(21)は「政策の違いが分かりやすく伝わるようにしてほしい」と願う。

 社会保障の財源になっている消費税減税の議論もある。政策の財源も気掛かりだ。「政策の財源をどう確保するのか」も投票先を決める重要な「物差し」だ。

 ミニ解説 

 自民はアベノミクスの金融緩和、財政出動、成長戦略を踏襲し経済立て直しを図る。賃上げに積極的な企業への税制支援も掲げるが、消費税減税には慎重だ。

 立民は総額30兆円規模の補正予算、低所得者への年12万円給付、公的に助成しながらの最低賃金引き上げ、消費税率5%への時限的減税を公約に盛り込んだ。

 将来世代の負担のあり方や、各党の政策の実現可能性も重要なポイントだ。