入院中、女性が記入した新型コロナウイルス感染症の症状や体温の記録。味覚障害などに丸が付けられている=14日午後、宇都宮市内

 体が鉛のように重く、ベッドから起き上がれない。熱は41度近くまで急激に上がった。「やばい。死ぬかも」。恐怖に駆られた。

 宇都宮市、会社員女性(21)を異変が襲ったのは7月中旬。勤務先の飲食店で寒けとのどの痛みを感じ、早めに帰宅した。感染対策は徹底していた自負があった。

 しかし翌日。体調が急に悪化した。PCR検査の結果は、新型コロナウイルスの「陽性」。何を食べても味がせず、「まるでゴムのよう」。肺機能は「50代」にまで低下した。「店が特定され、風評被害が出たら…」。心身がすり減った。

 約1週間入院し、自宅療養も経験した。症状は徐々に回復したが、ぜんそくの治療は続いている。

 県内では7~9月、「第5波」が猛威を振るった。医療スタッフや病床の不足などで、必要な医療が提供されない事態にも陥り、自宅療養者はピーク時に1500人を超えた。

 年末年始の大きな「第3波」があったのに、体制は整っていなかった。女性は自ら感染を経験し、これまでの政府の対応が「後手後手に回っていた」と映る。

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 冬に向けて「第6波」の到来が危惧される中、新型コロナの医療対策は衆院選の最大の争点だ。

 何度も波に直面し、感染拡大防止と経済を回すことのはざまで揺れた安倍晋三(あべしんぞう)政権、菅義偉(すがよしひで)政権の対応へ国民が審判を下す選挙でもある。

 第5波では入院できず、自宅で亡くなるケースが全国で相次いだ。野党には「失政」との指摘もある。一方、自民は、ワクチン接種率が急速に上がったことなどをアピールする。

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 「もし入院先が見つからなかったら、どれほど不安だろう」。7月に感染し肺炎を発症した宇都宮市、会社員男性(18)は、自宅療養中に死亡した人のニュースに触れ、危機感を覚えた。

 自身は幸いすぐに入院先が見つかったが「医療崩壊が迫っている」と感じた。

 ワクチン接種が進んでも変異株の影響などで、次にどんな波が来るのかは見通しきれない。「第6波への備えは急務」と思う。

 選挙権を得て初めて臨む衆院選。「命を最優先に考える政治であってほしい」。1票の重みをかみしめ、投票先を見極める。

 ミニ解説 

 新型コロナウイルス感染拡大の対策を巡って、自民党は感染対策と経済活動の両立を強調する。人流抑制や医療提供体制確保のため行政の権限を強化する法改正に取り組み、国産経口薬の開発にも力を注ぐ。

 一方、野党側は立憲民主党が、病床確保への国の積極的な関与を主張する。ワクチン・治療薬の開発支援のほか、水際対策として「全入国者を10日以上、ホテルなどで隔離」と訴える。