搬出される農家保管分の農業系指定廃棄物=22日午前9時45分、那須塩原市内

 放射性物質を含む農業系指定廃棄物の暫定集約を巡り、農家が一時保管している指定廃棄物の搬出作業が22日、栃木県那須塩原市内で始まった。来年12月までに、市内農家53戸が保管している計1216トンが同市蟇沼(ひきぬま)のごみ処理施設「那須塩原クリーンセンター」に運搬される。

 搬出作業が行われたのは、牧草と稲わら計19.8トンの指定廃棄物を15アールの畑で保管してきた農業男性(68)方。作業員たちは黒いバッグに入った牧草計約1.5トンをトラックに積み、周囲の空間放射線量を測定しながら搬出した。男性方での作業は来週前半に完了する見込み。

 男性は「生きている間に動かせると思っていなかった。原状回復したら牧草の種をまきたい」と希望を口にした。

 環境省関東地方環境事務所の日下部浩(くさかべひろし)保全統括官(49)は「最初の集約がようやくできた。負担を掛けてきた農家の皆さんには申し訳なかったが、一軒一軒作業を進める」、市産業観光部の冨山芳男(とみやまよしお)部長(57)は「農家の負担軽減のために第一歩が踏み出せた。安全対策を講じながら作業していく」と話した。

 同センターに運び込まれる指定廃棄物のうち放射能濃度が基準値(1キログラム当たり8千ベクレル)以下の954トンは指定解除され、来年1月から一般ごみと混ぜて焼却される。焼却灰は同市西岩崎の一般廃棄物最終処分場に埋め立てられる。基準値を超えるものは同センターで保管後、濃度が下がった段階で焼却される。

 県内では同市を含む6市町で農業系指定廃棄物が保管されている。保管量が1680トンと最も多い那須町の平山幸宏(ひらやまゆきひろ)町長は同日の定例記者会見で「那須塩原市の搬出作業の状況を確認した上で国に安全安心な暫定集約の方法を示すよう求めたい」と話した。